動力用送風機は、空気やガスを動力源として利用する各種産業プロセスに対して、必要な圧力と風量を供給するための送風機です。鉱山や工場では、空気動工具の駆動、空気輸送、燃焼用空気供給、流体機器の駆動補助など、多くの場面で空気やガスが動力として使用されています。動力用送風機は、こうした用途に安定した圧力と風量を提供し、設備全体の運転効率と生産性向上に貢献します。鉱山用送風機の信頼性と高圧性能を基盤とした動力用送風機は、過酷な環境下でも安定した動力供給が可能です。
動力用送風機は、用途に応じて遠心型や軸流型が選択されます。高圧が必要な場合は高静圧型の遠心送風機が用いられ、長距離配管や多くの分岐を持つ圧送ラインに対応します。一方、比較的低圧で大風量が求められる用途では、軸流送風機が選ばれることもあります。動力用送風機は、空気輸送や気流搬送と組み合わせて、粉粒体や鉱石微粉、セメント、フライアッシュなどを配管内で輸送するシステムにも使用されます。こうしたシステムでは、送風機が発生する圧力が輸送能力と直結し、適切な送風機選定が圧送性能を左右します。
鉱山現場では、動力用送風機が圧縮空気設備と組み合わさって使用されることが多く、坑内のドリルや工具、昇降設備の補助動力として空気を供給します。また、選鉱工場では、空気浮選や気流分類などのプロセスに動力用送風機が活用されます。これらの用途では、一定の圧力と風量を長時間安定して供給する必要があり、動力用送風機には高い信頼性と効率が求められます。さらに、燃焼設備の補助動力として使用される場合には、燃焼状態の安定と熱効率改善にも寄与します。
運転管理の面では、動力用送風機の圧力・風量・電流値を常時監視し、需要に応じたきめ細かな制御を行うことが重要です。インバータ制御を導入することで、必要以上の風量供給を抑え、エネルギー消費を削減しながら安定した動力を確保できます。また、振動や軸受温度の監視によって、羽根車の摩耗やバランス不良、軸受の劣化を早期に検知し、計画的保守を実施できます。動力用送風機は、鉱山用送風機の堅牢な構造と高効率設計を受け継いだ装置として、空気動力を活用するさまざまな産業プロセスにおいて、安定した動力供給と省エネ運転を支える重要な役割を果たしています。