ガラス製品用高圧送風機は、ガラス工場の溶融炉、焼成炉、冷却ラインなどに高圧の空気やガスを供給するために設計された産業用送風機です。ガラス製造プロセスでは、原料の溶融、成形、徐冷など各工程で厳密な温度管理と雰囲気制御が求められ、そのための通風・燃焼空気供給・冷却風供給に高圧送風機が不可欠となります。ガラス製品用高圧送風機は、高温環境下での連続運転に耐えながら、安定した圧力と風量を提供することで、製品品質と生産効率の向上に貢献します。
構造面では、ガラス製品用高圧送風機は高静圧型の遠心送風機をベースとし、耐熱鋼や高強度鋼を用いた羽根車と、熱変形を抑えた堅牢なケーシングを備えています。溶融炉や窯炉近傍に設置される場合は、吸込側の空気温度が上昇しやすいため、軸受冷却やケーシング冷却などの高温対策が施されています。また、ガラス工場では粉じんや微細なガラス片が混入する場合もあるため、羽根車の耐摩耗性や軸受部の防塵構造も重要です。鉱山用高圧送風機で培われた高静圧・高信頼性設計を応用することで、厳しい運転条件にも安定して対応できます。
ガラス製品用高圧送風機の用途は、燃焼空気供給、炉内通風、二次空気供給、冷却ゾーンの強制冷却など多岐にわたります。溶融炉では、燃焼効率と火炎安定性のために均一な空気供給が求められ、高圧送風機が燃料と空気の適切な混合を支えます。成形後のガラス製品を徐冷するアニールプロセスでは、一定の風量と温度分布を維持することで内部応力を低減し、割れや歪みの少ない製品品質を実現します。さらに、排ガスをダクトで引き出す際にも、高圧送風機がダクト抵抗を克服して安定排気を確保します。
運用面では、ガラス製品用高圧送風機はインバータ制御と組み合わせることで、炉負荷や生産量の変動に応じた風量・圧力調整が可能となり、省エネとプロセス安定の両立が図れます。振動・温度・電流値のオンライン監視を導入すれば、羽根車の摩耗やバランス不良、軸受異常を早期に検知し、計画的停止による保守が行えます。ガラス製造は高温・連続運転が基本であるため、送風機停止はそのまま生産停止につながりますが、鉱山用送風機の技術を活かしたガラス製品用高圧送風機は、高負荷での連続運転にも耐える信頼性を備えています。これにより、ガラス工場における通風・燃焼・冷却の安定化とエネルギー有効利用に大きく貢献します。