排気送風機は、作業空間や設備から発生する粉じん・熱・ガス・臭気を含む空気を効率的に排出し、快適で安全な作業環境を維持するための送風機です。鉱山やトンネル、各種工場では、掘削・粉砕・溶解・焼成・塗装などのプロセスから多様な汚染物質や熱が発生し、そのまま放置すると作業者の健康被害や火災・爆発リスク、設備の劣化を招くおそれがあります。排気送風機は、こうした有害要因を局所的または全体的に捕集し、大気または処理設備へ安全に搬送することで、環境改善と安全確保に貢献しています。
鉱山分野においては、坑内の排気立坑や排気坑道に排気送風機を設置し、主扇と連携して汚染された空気を地上へ排出します。ガス鉱山や炭鉱では、メタンガスや粉じんが高濃度で存在する区域からの空気を速やかに排出することが重要であり、排気送風機は換気計画の要となる機器です。また、掘進現場や破砕プラント、積込みポイントなどでは、局所フードやフード付きダクトと組み合わせた局所排気システムを構築し、粉じんや煙を発生源付近で捕集することで、作業エリア全体への拡散を抑えます。これにより、粉じん濃度の低減や視界の確保、火花や熱源との接触による爆発リスクの抑制が図られます。
排気送風機の形式は、用途や汚染物質の性状によって選択されます。粉じんや粒子を多く含む排気では、耐摩耗性に優れた遠心送風機が用いられることが多く、ケーシングや羽根車には耐摩耗鋼やライニングが採用されます。高温排気や排ガス処理ラインでは、耐熱構造を備えた高温対応送風機や耐高温送風機が必要です。腐食性ガスを含む場合には、ステンレス製送風機や耐食ライニング付き送風機が選定されます。騒音規制の厳しい環境では、静音設計やサイレンサーと組み合わせた排気送風機システムを構築することで、環境基準の遵守を図ります。
運用・保守の面では、排気送風機は汚れやすい環境で使用されるため、定期的な清掃と点検が欠かせません。粉じんが羽根車やケーシングに堆積すると、風量や効率が低下するだけでなく、アンバランスによる振動増加や摩耗加速の原因となります。排ガス処理ラインでは、腐食やスケール付着による肉厚減少やクラックにも注意が必要です。そのため、内部状況を定期的に点検し、必要に応じて洗浄・補修・部品交換を行うことが重要です。また、フィルタやダンパ、ダクトの目詰まりは排気性能に直結するため、圧力損失の変化をモニタリングして早期対応する仕組みが有効です。インバータ制御やスマート監視機能を備えた排気送風機を導入すれば、実際の排気負荷に合わせた省エネ運転と状態監視が可能になり、鉱山と各種産業施設の排気・排ガス管理をより高度なレベルで実現できます。