熱風循環送風機は、乾燥炉、アニール炉、焼成炉などの高温設備内部で熱風を循環させるために使用される送風機です。炉内の温度を均一に保ち、対象物をムラなく加熱・乾燥・徐冷することが求められるプロセスでは、この熱風循環送風機が重要な役割を果たします。鉱山分野では鉱石や濾過ケーキの乾燥、冶金工場では熱処理や焼鈍、ガラス工場ではアニール工程などに利用されており、製品品質の安定とエネルギー効率の向上に大きく貢献します。
熱風循環送風機は通常、耐高温仕様の遠心送風機もしくは軸流送風機として設計され、インペラとケーシングには耐熱鋼や特殊合金が使用されます。高温環境下で連続運転されるため、軸受部には冷却装置や高温対応グリースが用いられ、温度上昇による故障を防ぎます。また、炉内の流れ分布を考慮した羽根形状と性能曲線が求められ、熱風が炉内の隅々まで行き渡るように循環経路が最適化されます。鉱山用高温送風機の堅牢な設計思想を踏まえた熱風循環送風機は、過酷な条件下でも安定した運転が可能です。
熱風循環送風機の導入によって、炉内温度の均一性が向上し、製品の品質ばらつきを抑えることができます。鉱石乾燥では含水率のムラを低減し、後工程の粉砕や選鉱における安定性を高めます。ガラスや金属の熱処理では、内部応力を均一に解放することで、割れや歪みの少ない製品を得ることができます。また、熱風を循環させることで新規加熱エネルギーの投入を抑え、燃料消費の削減にもつながります。これは鉱山や大規模工場にとって、運転コストの削減と環境負荷低減の両面で大きなメリットとなります。
運転管理の観点では、熱風循環送風機の回転数や風量をプロセス条件に合わせて柔軟に制御することが重要です。インバータ制御を採用すれば、昇温・保持・冷却各段階で最適な風量を設定でき、省エネと品質安定を同時に実現できます。さらに、振動や軸受温度、電流値をモニタリングすることで、高温による部品劣化や付着物の不均一によるバランス不良を早期に検知し、計画的な保守につなげることが可能です。熱風循環送風機は、鉱山用送風機技術を応用した高温循環専用機として、さまざまな熱処理・乾燥プロセスの中核を担い、安定した生産と省エネルギー運転を支える重要な設備です。