オンライン監視は、鉱山用送風機や坑内換気システムの運転状態をリアルタイムに計測・記録し、異常の早期発見や予知保全、鉱山安全の向上に役立てるための監視技術です。主換気送風機や大型局所送風機が停止すると、坑内のガス濃度上昇や粉じん滞留、温度・湿度の悪化につながるおそれがあるため、その運転状態を常に把握しておくことが重要です。オンライン監視システムでは、送風機の振動、軸受温度、電動機電流、風量・静圧などのデータがセンサーによって取得され、制御室や管理センターに送信されます。これにより、現場に行かなくても設備の状態を確認でき、異常兆候に迅速に対応することができます。
送風機オンライン監視の中心となるのは、振動と温度、電流の監視です。振動センサーを軸受やケーシングに取り付け、異常な振動パターンが発生していないか常時チェックすることで、羽根車のアンバランス、軸受の摩耗、基礎ボルトの緩みなどを早期に検知できます。軸受温度や巻線温度の監視は、潤滑不足や冷却不足、過負荷状態の把握に有効です。電動機電流の変化からは、ダクト閉塞やフィルタ目詰まり、風量変動など、換気条件の変化を推測できます。これらのデータを組み合わせることで、送風機の健康状態を総合的に評価し、計画的な点検や部品交換を行うことが可能になります。
オンライン監視は、送風機単体だけでなく、換気システム全体の状態把握にも活用されます。坑内の主要ポイントに設置された風速・風圧センサーやガス濃度計、粉じん計、温度・湿度センサーなどの測定値を集約することで、通風網全体の風量分布や安全余裕度をリアルタイムに監視できます。例えば、掘進作業の開始や終了に伴う風量変化を即座に把握し、必要に応じて局所送風機の風量調整やダクトのバルブ設定を変更することができます。また、異常なガス濃度や粉じん濃度が検出された場合には、警報発報と同時に換気強化や作業中断などの判断を迅速に行うことができます。
近年では、オンライン監視データを活用した予知保全やスマート換気への取り組みも進んでいます。長期間にわたって蓄積された振動や温度、電流データを解析し、故障前に現れる微小な傾向変化を検出することで、突発停止を防ぎつつ最適なタイミングで整備を行うことが可能です。また、換気状態と作業計画、エネルギー使用量を組み合わせた解析により、必要風量を満たしながら省エネ運転を行う制御ロジックの構築も検討されています。オンライン監視は、鉱山用送風機と換気システムをより安全かつ効率的に運用するための重要な技術であり、今後も鉱山安全管理の中核として活用されていくと考えられます。
