繊維業界用高圧送風機は、紡績工場、織布工場、染色仕上げ工場などの繊維産業において、乾燥、除湿、集じん、搬送、換気などの用途に使用される高静圧型遠心送風機です。糸や布、繊維製品の生産ラインでは、多数の乾燥機、オーブン、定着機、集じん装置が稼働しており、それらに対して安定した風量と静圧を供給することが品質と生産性の維持に直結します。鉱山用高圧送風機で培われた流体設計と堅牢な構造技術を応用することで、繊維業界においても長時間連続運転と省エネルギーを両立した高圧送風ソリューションを提供できるのが本シリーズの特徴です。
繊維業界用高圧送風機は、主に高静圧が必要となる乾燥ラインや、長いダクトを経由する集じんシステムに用いられます。繊維粉じんや糸くずを含む空気流を搬送しながら、必要な風速と風量を維持することが求められるため、羽根車形状には高効率と耐摩耗性を両立した設計が採用されています。また、熱風乾燥ラインでは高温空気を扱う場合も多く、運転条件に応じて耐熱仕様や断熱構造が組み込まれます。鉱山用送風機と同様、性能曲線が明確で、運転点を安定して確保できることが、安全で効率的な繊維生産に欠かせません。
構造面では、繊維業界用高圧送風機は、清掃性と保守性にも配慮した設計が求められます。内部には繊維粉じんが付着しやすいため、ケーシングに点検口や清掃口を設け、定期的な内部清掃を容易にします。羽根車やケーシングには、粉じんによる摩耗を抑えるための適切な材質と板厚が選定され、必要に応じて交換可能なライナーを取り付けることも可能です。軸受部やシール部は粉じん侵入を最小限に抑える構造とし、鉱山用局所送風機で実績のあるシール技術を応用することで、長寿命運転を実現します。
運転・保守においては、繊維業界用高圧送風機の振動、軸受温度、電流値を定期的に監視し、付着物や摩耗による異常振動を早期に発見することが重要です。インバータ制御を導入すれば、生産量や製品種別に応じた風量調整が可能となり、乾燥品質の安定とエネルギーコスト削減に寄与します。さらに、集じんシステムと組み合わせることで、工場内の粉じん濃度を抑え、作業環境を改善することができます。繊維業界用高圧送風機は、鉱山用送風機の設計思想を繊維産業に展開したモデルとして、高信頼性と省エネ性能を兼ね備えた産業換気ソリューションを提供します。