繊維乾燥用送風機は、紡績糸の乾燥、織物の樹脂加工・防縮加工・染色後乾燥、仕上げラインの定着工程など、繊維産業における各種乾燥プロセスに使用される高温対応送風機です。乾燥工程では、製品の含水率や温度履歴が品質に大きな影響を与えるため、熱風の温度・風量・分布を安定させることが重要です。鉱山用送風機で培われた高静圧・高効率の流体設計と、高温環境での連続運転に耐える堅牢な構造を応用することで、繊維乾燥用送風機は乾燥品質と省エネルギーを両立したソリューションを提供します。
繊維乾燥用送風機は、乾燥機やオーブン、テンター、定着機などの設備内で熱風を循環させる熱風循環送風機として、また湿った空気を外部へ排出する排気送風機として用いられます。熱風循環用では、乾燥室内の温度分布を均一化することが求められ、適切な風量と風速により製品全体を均一に加熱します。排気用では、乾燥で発生した水蒸気や揮発成分を確実に排出し、新鮮空気との入れ替えを行うことで、乾燥効率の低下を防ぎます。鉱山坑内の通風設計で培われた空気分布と圧力制御のノウハウが、繊維乾燥ラインの設計にも生かされています。
構造面では、繊維乾燥用送風機は高温空気に対応するため、羽根車とケーシングに耐熱性の高い材質が採用されます。必要に応じて断熱構造を組み込み、外装側への熱影響を抑えることで周辺設備への負担を軽減します。乾燥ラインでは繊維粉じんや糸くずが発生しやすいため、送風機内部の清掃性を考慮したケーシング形状と点検口の配置が重要です。軸受部は高温源から適切に離隔され、冷却構造と高温対応グリースにより長寿命化が図られます。鉱山用高温送風機における耐熱設計と振動管理技術が、そのまま繊維乾燥用モデルにも応用されています。
運転・保守の観点では、繊維乾燥用送風機の風量・静圧・電流値・ガス温度・振動などを継続的に監視し、乾燥条件の安定と設備保護を両立することが求められます。インバータ制御を導入することで、製品種別や乾燥条件に応じて風量と循環量を調整でき、過乾燥や温度ムラを防止しながらエネルギー消費を最適化できます。定期的な内部清掃と羽根車点検により、粉じん付着やバランス不良による効率低下や騒音増加を防ぐことができます。繊維乾燥用送風機は、鉱山用送風機の技術を背景とした高信頼の乾燥設備として、繊維工場の品質・生産性・省エネを総合的に支える重要な送風機です。
