繊維工場排気送風機は、紡績・織布・染色仕上げなどの繊維工場において、繊維粉じん、糸くず、揮発性成分、熱気などを含む空気を効率よく排出するために用いられる産業用送風機です。多数の紡績機や織機、乾燥設備、定着機が稼働する繊維工場では、発塵量が多く、適切な換気と排気を行わなければ作業環境の悪化や火災リスクの増大につながります。鉱山用換気送風機で培われた通風技術を応用した繊維工場排気送風機は、工場全体のダクト網と連携しながら安定した排気を実現し、粉じん対策と安全確保に貢献します。
繊維工場排気送風機は、集じん装置と組み合わせて使用されることが多く、フードから吸い込んだ粉じんを含む空気をサイクロンやバグフィルタへ搬送し、浄化したうえで屋外に排出する役割を担います。長いダクトや多数の分岐を持つ排気システムでは、適切な静圧と風量を持つ送風機を選定することが重要です。鉱山用局所送風機と同様、性能曲線と実際の運転点を詳細に検討することで、各フードの吸込み性能を確保し、粉じんが室内に滞留しないようにします。揮発性溶剤や薬剤を扱う染色・仕上げ工程では、換気量の確保が作業者の安全と品質安定に直結します。
構造面では、繊維工場排気送風機には、粉じん付着を抑えたケーシング形状と、清掃・点検が容易な構造が求められます。ケーシングには点検口や清掃口が設けられ、定期的な内部清掃により性能低下やバランス不良を防止できます。羽根車には、繊維粉じんによる摩耗を抑える材質と板厚が選定され、必要に応じて交換可能なライナーを追加することも可能です。軸受部やシール部は粉じん侵入を抑える構造とし、鉱山用送風機で実績のあるシール技術を応用して、長寿命運転と信頼性向上を図っています。
運転・保守においては、繊維工場排気送風機の振動、軸受温度、電流値の定期監視が欠かせません。粉じん付着や糸くずの堆積は、羽根車バランスの崩れや騒音増加の原因となるため、計画的な内部清掃とバランス確認が必要です。インバータ制御を導入すれば、生産量や工程条件に応じて排気量を調整でき、エネルギーコストを抑えつつ安定した換気を維持できます。繊維工場排気送風機は、鉱山用換気技術をベースにした高信頼の排気ソリューションとして、工場の安全・衛生・環境性能を総合的に向上させる役割を担います。