小風量送風機は、限定された空間や設備内部で必要とされる局所換気・冷却を行うために設計されたコンパクトな送風機です。鉱山や工場では、大型の主換気送風機や局所扇が注目されがちですが、実際には制御盤・機械室・計測室・分析室など、小規模ながら確実な通風が必要なエリアが数多く存在します。小風量送風機は、こうした狭い空間の熱だまりやガス滞留を解消し、機器の信頼性と作業者の安全を確保するための重要な役割を担っています。適切な選定と設置により、大規模な換気設備を増設することなく、きめ細かな通風対策を実施することが可能です。
形式としては、小風量遠心送風機と小風量軸流送風機があり、用途や設置スペースに応じて使い分けます。遠心形式は、制御盤底部や機械室の床下などから空気を吸い込み、ダクトを通じて排気する用途に適しており、静圧が比較的高いためフィルタやダクト抵抗が存在する場合でも安定した排気が可能です。軸流形式は、壁面やパネルに直接取り付けて吸排気を行う場合に多く採用され、構造がシンプルで静粛性にも優れています。防爆仕様や耐食仕様と組み合わせることで、ガス鉱山や化学プラントの局所換気にも対応できます。
鉱山現場では、坑内の制御盤や変電設備、通信機器室などに小風量送風機を配置し、発熱体の冷却や湿気対策を行うことが一般的です。風量が小さくても、温度上昇を抑え、結露を防ぐことで、電気機器の絶縁劣化や故障を未然に防ぐことができます。また、分析室や薬品保管室など、限られた空間でガスや薬品臭が滞留しやすい区域では、小風量送風機と局所フードを組み合わせることで、効率的なスポット換気を実現できます。こうした局所換気は、大規模な換気システム全体を変更することなく、必要な場所だけに対策を集中できる点が大きなメリットです。
保守・運用の観点では、小風量送風機は構造がコンパクトである反面、フィルタや吸込口が詰まりやすく、風量低下が発生しやすい傾向があります。そのため、定期的なフィルタ清掃や吸込・吐出口の点検が重要です。特に粉じんの多い鉱山現場では、フィルタやグリルに粉じんが堆積しやすく、放置すると冷却性能が低下し、電子機器の故障原因となる可能性があります。また、軸受の潤滑やファンブレードの汚れも振動や騒音の増加要因となるため、簡易点検を含む定期メンテナンスを計画的に実施します。適切な選定と保守を行うことで、小風量送風機は鉱山および各種産業施設におけるきめ細かな通風管理を支え、設備の安定稼働と安全な作業環境づくりに貢献します。