送風機故障は、鉱山やトンネルの換気システムに大きな影響を与える重大なトラブルです。送風機が突然停止したり性能低下を起こしたりすると、坑内のガス・粉じん・温度管理が困難になり、作業者の安全確保や生産計画に直接影響します。送風機故障の原因は多岐にわたりますが、典型的な故障モードを理解し、早期に兆候を発見して対策を講じることが重要です。鉱山用送風機では、大型の主扇から局所送風機まで、さまざまな形式と容量の機器が使用されており、それぞれに特有の故障パターンが存在します。
代表的な送風機故障としては、羽根車の損傷やアンバランス、軸受の焼き付きや摩耗、シャフトの曲がり、シール部の漏れ、ケーシングのクラック、電動機の絶縁劣化や巻線焼損などが挙げられます。粉じんや腐食性ガスを多く含む鉱山環境では、羽根車に付着物が蓄積してアンバランスが進行し、振動増大を引き起こすことがよくあります。また、潤滑不良やミスアライメントにより軸受温度が上昇し、最終的に焼き付きへと発展するケースも少なくありません。電気系統では、電圧変動や過負荷、ケーブル劣化が電動機故障の要因となります。
送風機故障を未然に防ぐには、日常点検と状態監視を組み合わせた予防保全が有効です。運転音や振動の変化、軸受温度や電動機電流のトレンドを日常的にチェックし、基準値からの異常な変化を見逃さないことが重要です。振動モニタリングやオンライン監視システムを導入すれば、アンバランスやルーズネス、軸受損傷などの兆候を早期に検出できます。また、定期的な分解点検で羽根車の磨耗状況や軸受クリアランスを確認し、部品交換やバランス調整を行うことで、重大故障のリスクを大幅に低減できます。
故障が発生した場合には、単に部品を交換するだけでなく、原因を徹底的に分析し、再発防止策を講じることが重要です。破損した羽根車の破面観察や材質調査、軸受内部の状態確認、振動記録や運転履歴の解析などを通じて、設計上の問題か、運転条件の不適合か、保守不足かを見極めます。その結果に基づき、送風機仕様の見直しや運転点の変更、保守周期の調整、教育強化などの改善策を実施します。送風機故障に対する体系的なアプローチは、鉱山換気の信頼性向上と安全性確保に直結しており、長期的な設備運用コストの削減にも貢献します。