送風機試験は、鉱山用送風機の性能と品質を保証するために欠かせない検証プロセスです。設計段階で計算された風量・全圧・静圧・効率などの性能が、実際の製品でも確実に達成されているかを確認することで、鉱山換気システム全体の計画が成り立つかどうかを検証できます。主扇や局所送風機が期待される能力を発揮できなければ、坑内のガス濃度管理や粉じん対策、温度制御に重大な影響が生じるため、送風機試験は単なる工場検査ではなく、安全を支える基盤と言えます。
一般的に、送風機試験は工場で実施される性能試験と、現地設置後に行われる性能確認試験に大別されます。工場性能試験では、専用の試験設備や試験風道を用いて、規定の測定法に基づき風量・全圧・静圧・軸動力・効率・騒音などを測定します。これにより、送風機が設計点および使用予定点において所定の性能を有していることをデータとして示すことができます。鉱山用送風機では、大型機でも試験要求が出されることが多く、試験結果は検収資料として保存され、納入後のトラブル時にも重要な参照データとなります。
現地での送風機試験は、実際のダクトや坑道を通した状態で風量・圧力・電流値などを測定し、換気設計どおりの運転点が得られているかを確認するために行われます。工場試験では標準的な条件での性能が確認できますが、鉱山現場ではダクト抵抗や分岐構成、風門開度、他設備との干渉など多くの要素が性能に影響します。現地性能確認試験を実施することで、送風機の運転点を特性曲線上に位置付けることができ、必要に応じて回転数調整やダンパ調整、換気ネットワークの見直しなど具体的な改善策を検討できます。
送風機試験は、単に合否を判断するだけでなく、長期的な換気管理や省エネ運転の基準を作る役割も果たします。初期性能データを正確に把握しておけば、運転年数が経過した際の風量低下や効率低下を定量的に評価でき、適切なオーバーホールや更新時期を判断しやすくなります。また、試験で得られたデータをもとにインバータ制御や可変ピッチ制御の省エネ効果を評価し、投資回収期間の試算に役立てることも可能です。鉱山用送風機における送風機試験は、品質保証と安全確認、そして将来の運転最適化を同時に支える重要なプロセスとして位置付けられています。
