物流輸送は、鉱山用送風機や産業用送風機が工場で完成したあと、ユーザーの鉱山や工場に無事に届くまでの重要な工程です。特に、主換気用の大型軸流送風機や高圧遠心送風機、防爆局所送風機ユニットなどは、重量が大きく外形寸法も長大であるため、輸送中の振動や衝撃による変形・傷・塗装剥がれを防ぐ対策が不可欠です。物流輸送の品質は、そのまま据え付け後の運転信頼性に影響するため、鉱山用送風機メーカーにとっては製造と同じくらい重視すべき工程と言えます。
鉱山用送風機の物流輸送では、まず出荷前に適切な梱包が行われます。中・大型の送風機は、羽根車・ケーシング・ベースフレームを木枠または鋼製フレームの上に固定し、クレーンやフォークリフトでの取り扱い時に荷重が均等にかかるよう配慮します。輸送中の錆や湿気を防ぐため、露出部分には防錆油や防錆フィルムを使用し、海上輸送の場合はコンテナ内の結露対策として乾燥剤を配置することも一般的です。端子箱や制御盤などの電気部品は、耐衝撃性の高い梱包材で保護され、振動で損傷しないよう細心の注意が払われます。
物流輸送ルートは、製品仕様と納入先の条件に応じて選定されます。国内輸送ではトレーラーによる陸送が中心となり、大型送風機の場合は特殊車両通行許可が必要となることもあります。国外の鉱山や工場へ納入する場合は、コンテナ輸送や在来船を利用した海上輸送が主流となり、港湾での積み替えや通関手続きも重要なポイントです。重量物の荷役では、吊り上げポイントや重心位置を明確に表示し、現地クレーンの能力や作業スペースを事前に確認することで、安全かつスムーズな荷下ろしを実現します。
物流輸送の工程では、単に製品を運ぶだけでなく、出荷管理と情報連携も重要です。出荷リストや梱包明細、製品図面、検査成績書などを整理し、コンテナ番号や船便情報と紐付けることで、ユーザーは輸送状況を把握しながら据え付け準備を進めることができます。鉱山用送風機メーカーにとって、物流輸送は顧客との最初の「現場での接点」とも言えるため、丁寧な梱包と正確な情報提供が信頼構築につながります。適切に管理された物流輸送によって、送風機は工場での品質そのままに現場へ届けられ、据え付け・試運転をスムーズに開始することができます。