FBDシリーズは、主に炭鉱や金属鉱山の坑内局所換気に使用される隔爆型対向回転軸流局所送風機シリーズであり、中国や多くの資源国の鉱山通気規格において標準的な局所送風機として位置づけられています。FBD形式の局所送風機は、2台の羽根車を同軸上で逆方向に回転させる対向回転構造を採用することで、高静圧と高効率を両立しており、長距離柔軟ダクトを用いた局所通気や、大きな通気抵抗を持つ切羽周辺の換気に特に適しています。隔爆構造を備えることで、メタンガスや炭じんが存在する炭鉱坑内でも安全に使用でき、切羽の安全確保と作業環境の改善に大きく貢献します。
FBDシリーズの構造は、前段と後段の2つの軸流羽根車、防爆電動機、隔爆ケーシング、ガイドベーン、消音装置などで構成されます。対向回転羽根車は、それぞれ適切な角度と形状に設計され、前段で加速された空気を後段でさらに昇圧することで、同じ外形寸法の単段軸流送風機と比べて高い静圧を得ることができます。隔爆ケーシング内には防爆電動機が収納され、ケーブル引き込み部や点検口は防爆端子箱とガスケットにより気密性を確保します。さらに、運転時の騒音を低減するために消音器や吸音材を組み合わせることで、坑内作業環境への影響を最小限に抑えています。
通気性能の面では、FBDシリーズは長距離ダクト換気に対応できる高静圧と、切羽に必要な大風量を両立していることが大きな特長です。一般に、炭鉱切羽では粉じん抑制やガス希釈のために比較的高い風速が求められますが、坑道断面やダクト径が限られる場合、通気抵抗が大きくなり、送風機に高い静圧が要求されます。FBD局所送風機は、こうした条件のもとでも十分な風量を確保できるため、深部採掘や長大切羽に適した局所通気設備として評価されています。また、インバータ制御や風門の調整と組み合わせることで、採掘進行に応じた柔軟な風量調整が可能となり、エネルギー効率の向上にもつながります。
運用・保守においては、FBDシリーズ局所送風機の隔爆性能と通気性能を維持するための定期点検が重要です。羽根車の粉じん堆積や摩耗、ケーシング内面の腐食、軸受温度や振動レベルの変化は、性能低下や故障の前兆となるため、計画的な清掃と部品交換が求められます。隔爆構造を損なわないよう、点検時には指定トルクでボルトを締結し、純正ガスケットや部品を使用することが不可欠です。通気測定結果と組み合わせてFBD局扇の運転点を管理することで、切羽換気の安全性と省エネ性を両立し、鉱山全体の通気システムの信頼性向上に寄与します。
