ガス循環送風機は、反応炉や熱処理炉、閉ループ型プロセスラインにおいて、ガスを繰り返し循環させるために用いられる専用送風機です。循環ガスは、温度・圧力・組成がプロセスによって大きく変動するため、それに対応できる信頼性の高い送風機が必要となります。鉱山や化学工業、冶金、ガラス工業においては、熱風循環や触媒反応ガス循環、インタークーラを介したガス冷却循環など、さまざまな用途でガス循環送風機が使用され、プロセス効率の向上とエネルギー有効利用に貢献しています。
構造的に、ガス循環送風機は高温・高圧・高密度のガスに対応できる堅牢なケーシングと羽根車を備えています。熱風循環用途では、耐熱材料を使用したインペラと高温軸受構造、冷却ファンや冷却ジャケットを組み合わせることで、長時間の高温運転でも安定した性能を維持します。密閉系ガス循環では、漏えい防止が重要となるため、メカニカルシールや高性能パッキンを用いたシャフトシール構造が採用されます。また、圧力変動や流量変動に対応するため、性能曲線の安定性にも配慮した設計とし、プロセス側の条件変化に柔軟に対応できることが求められます。
鉱山分野においては、メタンガスや冷却ガスの循環、熱回収システムなどにガス循環送風機が利用されます。化学工業では、反応炉内部でのガス循環による温度均一化や反応速度の制御、ガス冷却器を通過させた後の再循環など、多様なプロセスで採用されます。冶金工場やガラス工場の熱処理炉では、炉内ガスを循環させることで、温度分布の均一化と加熱品質の安定化を実現し、製品品質の向上に寄与します。これらの用途では、ガス循環送風機の停止がそのままプロセス停止につながるため、高い信頼性と適切な予備機構成が不可欠です。
運転管理では、ガス循環送風機の温度・圧力・振動・電流値を常時監視することが推奨されます。特に高温ガスを扱う場合、軸受温度やシール部温度の上昇は故障の前兆となるため、早期の異常検知が重要です。インバータ制御を導入すれば、プロセス条件に応じて循環量を調整でき、エネルギー消費の最適化と反応条件のきめ細かな制御が可能になります。鉱山用送風機で培われた高温・高信頼設計を応用したガス循環送風機は、プロセスの安定運転と省エネに大きく貢献する重要な設備です。
