サイクロン集じん送風機は、サイクロン本体とセットで使用される集じん用送風機であり、遠心力を利用して粉じんをガスから分離するサイクロン集じんシステムの動力源として機能します。サイクロン集じん装置は構造がシンプルで高温ガスにも強く、鉱山、冶金、セメント、ガラス、石灰、建材工場など、多くの粉じん発生現場で粗じん処理や前処理設備として導入されています。サイクロン集じん送風機は、サイクロン内の圧力損失を補う十分な静圧と安定した風量を供給することで、分離効率を最大限に引き出します。
サイクロン集じん送風機には、主に遠心送風機が採用され、高温・高濃度粉じんガスにも対応できるよう耐熱・耐摩耗設計が施されています。羽根車には耐摩耗鋼や肉盛り溶接が用いられ、ガスの旋回流に伴う粒子衝突から羽根を保護します。ケーシングは粉じん付着を抑えた流路形状とし、メンテナンス時の点検口やライナー交換が容易に行える構造となっています。高温ガスを扱う場合には、耐熱軸受や冷却ファンを組み合わせることで、長時間連続運転においても安全で安定した運転を可能にします。
鉱山では、破砕・選鉱プロセスや乾燥設備からの高温粉じんガスをサイクロン集じん装置に導入し、まず粗大粒子を効率的に分離します。その後、必要に応じてバグフィルタや電気集じん機などの精密集じん装置と組み合わせることで、排出基準に適合した粉じん濃度まで確実に低減させます。サイクロン集じん送風機は、この一連の集じんプロセスにおいて最初のステップを支える重要な装置であり、上流側フードの吸込みからサイクロン内部の流動までを安定させる役割を持ちます。冶金工場やセメント工場においても同様に、炉やキルンからの粉じんガス処理にサイクロンと専用送風機が採用されます。
運用面では、サイクロン集じん送風機の性能がサイクロン分離効率と直接関係するため、ダクト抵抗やサイクロン差圧を考慮した適切な風量・静圧の選定が不可欠です。インバータ制御を用いれば、ガス発生量の変動や運転条件に応じて風量を調整でき、エネルギー消費を抑えつつ分離性能を維持することができます。また、振動・温度・電流値のオンライン監視によって、粉じん堆積や羽根摩耗、ダクト閉塞などの異常兆候を早期に把握し、計画的保守につなげることが可能です。サイクロン集じん送風機は、鉱山用送風機の堅牢さと集じん技術を組み合わせた設備として、粉じん対策と環境保全、設備保護に大きく寄与します。
