工場排気は、冶金工場・化学工場・ガラス工場・繊維工場など、さまざまな産業現場で発生する熱気や粉じん、有害ガスを安全に外部へ排出するための重要な設備です。炉や乾燥機、反応塔、粉砕設備から発生する排気をそのまま室内に放置すると、作業者の健康被害や設備の劣化、製品品質の低下を招くおそれがあります。そのため、工場排気システムでは、遠心送風機や軸流送風機を用いて、排気ダクトを通じて効率的に排気を集め、必要に応じて集じん装置や排ガス処理装置を組み合わせながら大気放出を行います。鉱山機械を製造する工場においても、溶接・塗装・切削などの工程で発生する排気対策として、工場排気システムが重要な役割を果たします。
工場排気システムの中心となるのが排気用送風機です。高温排ガスや含じんガスを扱う場合には、耐熱・耐摩耗性を備えた高圧遠心送風機や耐高温遠心送風機が選定されます。ガラス工場の窯炉やボイラ排気では、排ガス温度が高く、長距離の煙道を通して屋外へ排出する必要があるため、9-19高圧遠心送風機のような高静圧型の送風機が適しています。一方、工場屋根や壁に取り付ける一般的な換気・排気用途では、軸流送風機やルーフファンが多く使用され、大風量で室内の熱気や蒸気を効率よく放出します。粉じん爆発や可燃性ガスの危険がある工場では、防爆モーターや防爆構造を採用した排気送風機を用いることで、排気システム全体の安全性を高めることができます。
工場排気の設計では、排気源の位置と性質、必要排気量、排気ダクトのルート、集じん装置や排ガス処理装置の有無など、さまざまな要素を総合的に検討する必要があります。粉じんを多く含む排気ラインでは、ダクト内での沈積を防ぐために適切な流速を確保し、曲がり部分や分岐部では圧力損失を最小限に抑えるようなレイアウトが求められます。また、高温ガスを扱う場合には、熱膨張や温度差による応力を考慮した支持方法や膨張継手の選定が重要です。これらの設計条件に基づき、必要な静圧と風量を満たす工場排気用送風機を選定することで、安定した排気能力を長期にわたり維持することができます。
工場排気システムは、作業環境の改善だけでなく、省エネや環境保全の観点からも重要です。高効率送風機とインバータ制御を組み合わせれば、操業状況やライン稼働率に応じて排気風量を調整でき、不要な排気運転を抑えることで電力コストの削減が可能です。また、集じん設備や排ガス処理装置と連携し、排出基準を満たした状態で大気放出を行うことで、周辺環境への負荷を最小限に抑えられます。鉱山用送風機メーカーとして工場排気分野に対応することで、鉱山現場だけでなく、冶金・化学・ガラス・繊維など関連産業の空気環境改善にも貢献することができます。
