入気とは、地表から鉱山やトンネルの内部へ取り入れられ、入気立坑や入気坑道を通って各作業場へ向かう新鮮空気の流れを意味する。鉱山通気においては、入気が十分に確保されてはじめて、有害ガスや粉じん、熱を排出する排気が成立するため、入気の計画と管理は通気全体の出発点となる。入気側で不足が生じれば、いかに排気を強めても安定した換気は実現できない。
入気は通常、主扇風機による圧力差や自然通風によって鉱山内部へ導かれ、通気網に沿って分岐しながら採掘切羽や設備周辺へ配分される。入気坑道には、粉じんの少ない区域を選定し、漏風や短絡を防ぐための構造上の配慮が求められる。また、入気立坑の位置や高さは、外気温度や風向にも影響されるため、通年を通じて安定した入気を確保できるよう計画することが重要である。
入気計画では、各区域に必要な換気量を満たしつつ、過度な風速による寒冷や粉じん巻き上がりを避けるバランスが求められる。作業員が長時間滞在する区域には、温度や湿度も考慮しながら快適性の高い入気を確保し、ガス湧出や熱負荷の大きい区域には安全性確保の観点から十分な入気量を優先的に配分する。通気計算や実測データを用いて入気分布を把握し、必要に応じて風門や仕切りによる調整を行うことが重要である。
安全管理の観点からは、入気側に汚染源が紛れ込まないよう注意する必要がある。坑外からの粉じんや排気ガスが入気立坑周辺に滞留すると、そのまま坑内へ持ち込まれるおそれがあるため、立坑周辺の環境整備や車両動線の管理が求められる。また、入気坑道での火気使用や排気機械の設置は、煙やガスの逆流を招きかねないため、原則として避けるべきである。
入気は一見単純な概念であるが、鉱山通気の設計と運用においては、量と質の両面から慎重な検討が必要な要素である。適切に計画された入気流は、排気系統と連携しながら、鉱山全体の安全性と作業環境の快適性を支える基盤となる。