通気網とは、鉱山の入気坑道や排気坑道、立坑、連絡坑道、採掘切羽へ向かう枝坑道などを、空気が流れる回路として体系的に表現したものであり、鉱山通気の計算や設計に用いられる重要な概念である。複雑な坑内構造を通気網として整理することで、各区間の風量と圧力損失を把握し、主扇風機の必要静圧や風量、通気方式の妥当性を客観的に評価できる。
通気網では、坑道や立坑などの通気経路を枝と見なし、交差点や分岐点を節としてモデル化する。それぞれの枝には、長さや断面積、内面の粗さ、設備などに応じた通気抵抗が与えられ、特定の主扇風機条件の下でどの枝にどれだけの風量が流れるかを計算する。こうした通気計算によって、風量不足が懸念される区域や、不要に多くの風量が流れている区域を特定し、風門やダンパの調整による改善策を検討できる。
通気網の解析は、主扇風機の選定にも直結する。通気網全体の圧力損失と必要風量が求まれば、性能曲線の中から適合する主扇風機を選び、必要に応じて並列運転や予備機の設置を検討することができる。また、将来の採掘計画に基づき、坑道延伸や新たな切羽の開設が通気網に与える影響を事前にシミュレーションすることで、通気不足や通気方向の逆転を未然に防ぐことが可能となる。
安全面から見ても、通気網の理解は極めて重要である。ガス湧出区域や粉じん発生源が通気網のどの位置にあるかを把握し、それらの区域を必ず入気側から新鮮空気で洗い流し、排気側へ確実に導く構成を維持することが、鉱山災害の防止に直結する。通気網が複雑になるほど、風門の誤操作や仕切りの損傷によって予期しない通気経路が形成されるリスクも高まるため、通気網図の整備と定期的な点検が欠かせない。
近年は、通気網を用いた計算にコンピュータ解析が広く利用されており、実測データと組み合わせて通気状態を詳細に把握する取り組みも進んでいる。これにより、主扇風機の運転条件の最適化や、省エネと安全性を両立させた風量配分の検討が容易になった。通気網は、鉱山通気を「見える形」で理解し、計画・設計・運転を一体的に改善していくための基本ツールであり、その適切な活用が鉱山通気管理の質を大きく左右している。