高効率遠心送風機は、送風機の軸動力を最小限に抑えながら所定の風量・静圧を確保することを目的として設計された産業用送風機です。鉱山、化学工業、冶金、ガラス、セメントなどの分野では、多数の送風機が24時間運転されており、送風機の効率向上は工場全体のエネルギーコスト削減に直結します。高効率遠心送風機は、流体解析（CFD）に基づく羽根形状の最適化と、渦損失・摩擦損失を抑えたケーシング設計により、従来機に比べて総合効率を大きく改善したモデルです。
構造的な特徴として、高効率遠心送風機のインペラは、適切な羽根角度と厚み分布を持つ後傾羽根や三次元羽根が採用され、流路内の二次流れや剥離を抑制することでエネルギー損失を低減しています。ケーシングや吸込口には、スムーズな流入・流出が得られるよう、ガイドベーンやベルマウス形状が用いられ、入口渦や出口渦の発生を最小限に抑える工夫が施されています。さらに、インペラバランスと軸受配置を最適化することで、振動レベルを低く抑え、高効率かつ静粛な運転を実現しています。
高効率遠心送風機は、主換気、集じん、排ガス処理、プロセスガス搬送など、多岐にわたる用途で導入されています。鉱山では、主扇や局所送風機の高効率化により、大規模な換気システム全体の電力消費が削減されます。化学工業や冶金工場では、プロセス条件に応じた風量・圧力を確保しつつ、既存設備との置き換えによって大幅な省エネ効果を実現した事例が報告されています。高圧型から中低圧型までさまざまな仕様が用意されているため、ユーザーの設備条件に合わせた最適機種の選定が可能です。
省エネの観点では、高効率遠心送風機とインバータ制御の組み合わせが特に効果的です。送風機は回転数の3乗に比例して動力が変化するため、必要風量に合わせて回転数をわずかに下げるだけでも大きな電力削減が期待できます。また、高効率遠心送風機は、性能曲線の形状が安定しているため、広い運転範囲で効率の高い運転が可能です。オンライン監視システムを活用すれば、効率低下の兆候を早期に把握し、羽根汚れやダクト閉塞などの要因を迅速に是正できます。鉱山用送風機メーカーが長年蓄積してきた高効率・高信頼設計のノウハウを生かした高効率遠心送風機は、産業換気・プロセス送風におけるエネルギー削減と運転安定性向上の両面で、大きな効果を発揮するソリューションとなっています。
