高効率送風機は、従来型送風機と比較して、同一の風量・全圧をより少ない電力で達成できるよう流体設計と機械設計を最適化した省エネ型の送風機です。鉱山換気やトンネル換気、各種産業換気では、送風機の電力消費が全エネルギーコストの大きな割合を占めるため、高効率送風機の導入は運転コスト削減に直結します。高効率送風機は、羽根車の翼形状やハブ比、ケーシングの流路形状、軸受損失の低減など、多くの要素を総合的に改善することで、効率の高い運転点を広い範囲で確保できるよう設計されています。
鉱山分野で用いられる高効率送風機には、軸流型と遠心型があり、用途や通気条件によって選択されます。主換気や大風量が必要な用途には高効率軸流送風機が、集じんや高圧が必要な用途には高効率遠心送風機が用いられることが一般的です。高効率送風機では、流れの剥離や渦の発生を抑える翼形状や、スムーズな流路設計によってエネルギーロスを低減し、効率向上を図っています。また、バランスの良い羽根車と精度の高い加工によって振動を低減し、軸受や構造部材への負荷を抑えることで、長寿命化にもつながります。
高効率送風機の導入効果を最大限に引き出すためには、通気システム全体の見直しも重要です。鉱山換気では、通気計算を通じて風量配分や圧力損失を再評価し、ダクト径やルート、風門設定を最適化することで、送風機に必要な全圧を低減できます。そのうえで、高効率送風機とインバータ制御を組み合わせれば、通気需要に応じて回転数を調整し、無駄な風量を抑えながら常に効率の良い運転点を維持できます。これにより、電力削減だけでなく、機器の負荷軽減による寿命延長も期待できます。
運用段階では、高効率送風機の性能を長期に維持するための保守が欠かせません。羽根車に付着した粉じんや汚れは効率低下の原因となるため、定期的な清掃と外観点検を行います。また、軸受温度や振動レベル、電流値の変化を継続的に監視し、小さな異常を早期に把握することが重要です。適切な保守と運転管理が行われれば、高効率送風機は鉱山換気設備や産業換気設備において、運転コストの削減と環境負荷の低減、通気安全の確保を同時に実現する有力な手段となります。
